農地転用と地上げ屋。

農地を農業以外(転用)の目的で買おうとするとき、農地法5条が適用されて、農業委員会の許可が必要になる。この手続きのことを僕らは「農転」とか「5条許可」とかって呼んでいる。

農地法とか農振法 は、農地の乱開発を防ぐというのが根底にあるため、転用に厳しい。「目的を達するためにはこの農地を転用するしかないので、周りの農地に迷惑をかけないようにするので転用させてください!」と農業委員会にお願いして、仕方なく許可してもらえる、そんなニュアンスなんだろうと思っている。

地上げ屋はあの手この手で農転をしようとするんだけど、そのやり方のひとつに「現況を農地じゃなくしてしまう」というものがある。その土地が農地かどうかという判断は、登記簿上の地目ではなく現況で判断される。休耕田であっても、耕作を再開できる状態であれば農地であることに変わりない。じゃあもう耕作できないくらい農地じゃなしてしまえということで、植林をする。樹木が育って10年くらい経ってすっかり山林になったところで、「もう今から農業再開するのは無理だし現況農地じゃないことは明らかなので農地指定を外してください」とお願いして許可してもらうのだ。

ものすごく息の長い話だが、地上げ屋は「農地じゃなくなったら所有権移転させてね」という仮登記を打って植林や手続きにかかる費用を負担してあげて、そうやって地上げをしていくのだ。とはいえ勝手に植林して人に売られては農地法が骨抜きにされてしまうので、農家自身が植林する(転用する)場合も許可が必要になる。それが「4条許可」(所有権移転を伴わない転用の許可)だ。なんだ、結局許可がいるんじゃんと思うのだけど、恐らく5条許可よりも4条許可を受ける方が楽なんだろう。

ところで、転用にも「一時転用」と「永久転用」という区分があるらしい。一時転用の方が当然許可されやすく、「3年間だけ一時的に資材置き場にさせてください!」とお願いして、3年経ったらまた一時転用許可を受けて・・・ということを繰り返して現況農地でなくなったところで農転してしまうというやり方もあったらしい。だけどこのやり方は2009年に許可が厳格になって、今では使えなくなった。

 個人的には植林とやってることは同じじゃんって思うんだけど、駐車場や資材置き場に転用するのはお金もかからないし転用中も使い勝手がいいから悪質性が高いけど、山林に転用するのはお金もかかるし転用中は何にも使えないから、山林にしてまで農転するなら赦してやるかみたいな裁量があるのかなーとか感じてしまう。

コメント

  1. 匿名 より:

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