企業不動産のデータを整理しよう その1

僕が今の部署に配属になった時、入れ替わりで部署を出ていった人がいたんだけど、その人が何十年もの間ひとりで会社の不動産を管理していた。何十年もひとりで管理していたので、会社の不動産のことはその人にしかわからないことだらけになってしまっていた。そんなわけで僕はこの半年かけて、会社の不動産に関する基本的なデータを整備することにした。

固定資産税の納付証明と権利証で保有不動産を洗い出す

恐ろしいことに、そもそも全部でいくつ土地を持っているかがわからなかった。そこでまず固定資産税の納付証明を見ながら、一筆ずつ所在、地目、地積を整理していった。だけど土地の評価額が30万円以下のものは免税となるので、納付証明に載っていない土地もあるはずだ。
なので次は経理部の金庫に保管してある土地の権利証から、納付証明に漏れている土地を洗い出した。中には既に売り渡した土地の古い権利証もそのままにされていたので、見覚えのない地番の土地を見つけたら登記をとって所有権を確認して、我が社の所有であることを確認してデータを追加した。
こうして約450筆の一覧表ができあがった。

一団の土地をひとまとめにして、簿価と路線価を調べる

次に経理部が認識しているひとまとまりの商品不動産にどの筆が対応するのかを整理した。この段階で、これまでひとつの商品不動産としていたけど複数に分割した方がいい案件があるなと気付いたけれど、今はこれまでの会社の認識を客観的なデータに可視化することが優先なのでスルーした。
商品不動産には簿価(B/S上の価格)があるが、相場との関係を把握するために路線価と固定資産税評価額を調べた。固定資産税評価額は筆ごとに決まっているので、最初に作った筆一覧表に固定資産税評価額の項目を加えてせっせと入力し、それを商品不動産ごとに合計した。
こうして約450の筆は約40の商品不動産と約20の事業用不動産、約15の関連会社資産に分けることができた。

免税の土地について公課証明を取り寄せる

固定資産税評価額はひとつの基準となる土地の価格だけれど、前述したとおり評価額が30万円以下だと納付証明が届かないので、いくらと評価されているのかもわからない。そこで各自治体へ「固定資産税の公課証明」を送ってくださいと依頼をした。
郵送で公課証明を取得するための方法と申請書は、だいたい自治体のホームページに載っている。必要なものは、その申請書と、申請者の身分確認証のコピー、必要額の郵便小為替(郵便局で買う)、切手を貼った返信用封筒、会社の代表者印が押された委任状(申請書に代表者印を押せばOKな場合もある)の5点セットだ。

商品不動産ごとに、法令上の制限を調べる

売り物の商品不動産はどんなものが建てられるのかがとても重要なので、用途地域と建ぺい率・容積率、その他の規制は一通り把握しておく必要がある。主要都市はWebでそういった情報を調べることが出来るが、地方都市では難しい。そこで電話とFAXを駆使して各役所に商品不動産に係る規制をヒアリングした(本当は役所に出向くべきらしいが、遠方なので仕方ない)。
まず都市計画課で聞くことは、都市計画区域かどうか、用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域、その他の規制(高度地区、駐車場整備地区、景観地区、屋外広告物規制など)。次に宅地課か開発課で宅地造成規制区域かどうか、そして建築課で前面道路の建築基準法上の種類を確認する。砂防法の規制があるかどうかは県の土木事務所に聞かなきゃいけないが、都市計画課で教えてくれることもある。
実際に売り渡す時のことを考えると、重要事項説明を片手にヒアリングしたり、下水道の埋設状況を確認したりしなきゃいけないんだけど、精査するのはもう少し後の段階でもいいだろう。

こうして社内に閉じこもってデータを揃える一方で、各地へ実際に赴き現況や管理状態の把握にも努めた。こうして大まかに企業不動産を可視化できたところで、追加調査することは更に増えていくのだが、その話はまた今度。

企業不動産の基盤データづくり 今回のまとめ

  • 筆ごとに把握すること
    • どの企業不動産に所属するか
    • 地番
    • 地目(建物用途)
    • 地積(建物床面積)
    • 固定資産税評価額
    • 固定資産税額
    • (建物)主要構造・建築年
    • 権利証の受領番号(この話は後日)
  • 企業不動産ごとに把握すること
    • どの筆がその不動産に所属するか
    • 所在地(代表する地番)
    • 公簿面積(所属する筆の合計)
    • 都市計画区域、用途地域、建ぺい率、容積率
    • その他の法令制限
    • 簿価
    • 固定資産税評価額(所属する筆の合計)
    • 路線価評価額(路線価図がある場合)
    • 倍率評価額(倍率表地域の場合)