「ランドケープアーキテクトの社会貢献を考える -昔・今・未来-」

今回のコーディネーターは戸田芳樹さん。パネラーは平賀達也さん、石田直人さん、酒井一江さんでした。


平賀さんの話題は飯田町アイガーデンエアの話から始まりました。計画地は北に小石川後楽園、南に皇居の緑地があり、このように点在する緑地を結んでいこうというイメージで計画を進めていったそうです。アイガーデンエアというひとつの空間もそこには多くの地権者がいて、それぞれの意見を聞いたりこちらの意見を通したりして境界を越えた空間作りを行うことで、はじめてまとまった空間として成立します。この話でのキーワードは「境界を越える」ということでした。セッションの中で境界の制約が顕著に現れた写真がありました。ある道路の交差点、区道と都道と道路に隣接する敷地内とで、道路舗装が全く異なっている写真です。平賀さんはこれが利用者にとって快適だろうか?という問題提起の仕方をされていましたが、そのような感覚的な問題にするまでも無く美的にも空間連続性が失われている点においても問題だと思いました。

石田さんの話題はランドスケープアーキテクトと不動産ビジネスについてです。LAというのは空間の価値を見出していくものだけど、それはずばり不動産価値の向上ということではないか。なるほどたしかに、こういう観点からLAの仕事を考えると、LAは空間からお金を作りだす錬金術師みたいです。事例として挙げられたのは箱根ターンパイク。かつては東急が保有していた有料道路でしたが、利益が上がらず外資系投資銀行に売却されました。投資銀行は景観資源などを見出しターンパイクをリノベーションしていくことで交通量が増し、今ではもう利益があがるほどになったというものです。

酒井さんの話は自身の経験からLAの社会貢献を考えるというもので、事例は特に無かったものの、これからの自分のキャリアデザインを考える上で避けて通れないことをぬけぬけと指摘されてしまいました。つまり、LAはたしかにたくさんの知識やスキルを持ち合わせていなければいけないけれど、何にしたって1人でどうにかしようというのは無理な話だから、自分の能力を見極めて、そして自分にはないたくさんの能力と繋がっていくことが大切であると。自分の特性―これは2年間造園を学んできたにも関わらず全く謎で、これから研究室を決めなきゃいけないというのにどうしようかと悩むところです。

3人の話題を受けて、特に「境界を越える」ということと「バリューアップ」というキーワードがセッションの中心となりました。「境界を越える」ということについては、実際に地権者を説得していく時の苦労だとか、行政が役立たずだとか、まあよくある展開だったのですが、問題なのは「バリューアップ」の方で、桶井雅之さんが意見した辺りから話が難しくて訳ワカメになってきました。桶井さんの意見は、「バリューアップといっても外資系のやることは5年足らずで利益が回収できるような超短期的なもので、例えば富士山のような普遍的なバリューアップとは全く異質のものだ。もっと未来のpublicを考えていかなければならないのではないか。」と、大体こんな感じだったと思います。助詞以外は殆ど横文字だったのでわかるものもわかりません。桶井さんの発言を受けて、「未来のpublic」というのがキーワードになったようですが、僕にはこの言葉の意味がわかりませんでした。いや、『public=公共の』ってことくらいはわかりますけど、そこから発展して違う意味があるのかもしれないしー、とか思ってたら最後に戸田さんが「未来の資産」と言い換えていました。えー、資産かよ、ってあの時は思いましたが今こうして振り返ってみると「長期的なバリューアップ=未来の資産→未来のpublic」ということなのかなあとちょっと納得できます。

他にも外資系と国内投資家とでは価値観が違う、例えば国内投資家は、「歴史あるホテルを買って社員研修所に→結果として会社のブランド性が高まる」というように、その空間の歴史性も価値に含めるが、外資系はそういったものは除外した純粋な経済的価値観で価値を見出そうとする、というような面白い話もありましたが、もう僕にはそろそろお腹いっぱいでした。

今回のセッションはLAの大物が揃ったこともありとても熱いセッションでした。次回のセッションは2月19日です。