不動産取引事例が公開されることに対する心配。

不動産データ会社のアトラクターズ・ラボがなかなか一般には調べにくいマンションの取引事例を公開するサービスを始めた。

不動産の取引事例―あのマンションの何階の部屋がいくらで売れたかということは、不動産業者であればレインズというデータベースを使って即座に調べることができる。なぜ一般に公開されないのかといえば、不動産業者はそういう情報を囲い込み、情報の非対称性で商売をしているからだという風に言われることが多い。業界でも常識のようにそう言われているから、それはそうなんだと思うけど、だから一般の顧客は高い値段をふっかけられるんだ、今の時代に情報開示は当たり前だという話になると、少し違うように思う。

取引事例が公開されることは、これから不動産を買おうとする人にとってはありがたいかもしれないが、既に不動産を買った人にとっては迷惑な話だと思う。あなたの住むマンションは、同じ階には他にいくつ部屋があるだろうか。ある時となりに引っ越してきた人がいて、取引事例を見てみたらデータが更新されていた。そうか、となりの人はいくらであの部屋を買ったんだ。自分が買った時と簡単に比較ができてしまう。数十万くらいの差なら割り切れるかもしれないが、数百万の差がついてたらどう感じるだろうか。それがどうしたで済めばいいけれど。

こうやって情報が公開されることで取引事例のばらつきが減ると思われるかもしれない。だけど不動産は一生に一度の買い物と言われている。これから買う人にとってはばらつきが減って嬉しいかもしれないけれど、既に買った人にとっては、自分の取引事例との比較になってしまう。禍根は一生続く。それに、同じマンション、同じ階数だから不動産は同じ価格になるかというと全然そんなことはない。角部屋と中部屋なら当然角部屋の方が高くなるし、だけど中部屋の設備がハイグレードなものにリフォームされていたら、角部屋より高くなるかもしれない。

そういうわけで、取引事例は不動産屋からチラ見する程度に留めておいた方が、購入した後の精神衛生上いいのではないか という考え方もあるよという話でした。

ところで上記のサイトは名古屋の物件ではほとんど役に立ちません。不動産業者でない人が参考価格を探すのであれば、Home’s不動産アーカイブが便利です。

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