広島市のサ付き住宅の傾向と分析

サ付き住宅ことサービス付き高齢者向け住宅の相談が度々あるので、市内の登録サ付き住宅の広さや家賃について、現状を調べてみた。補助金をもらってサ付き住宅を建てるためには一定基準を満たしてサ付き住宅情報提供システムに登録する必要がある。広島市内にある(オープン前を含む)登録サ付き住宅は投稿時点で53棟ある。

専有面積別にみた戸数と家賃について

専有面積戸数全住戸に占める戸数の割合平均家賃m2あたり平均家賃平均賞味家賃m2あたり平均賞味家賃
18~201,48969.1%59,5003,100156,3008,200
20~221788.3%52,6002,500122,9005,900
22~24231.1%60,2002,600191,5008,300
24~2622410.4%54,5002,200153,4006,100
26~28492.3%68,0002,500172,1006,400
28~301004.6%65,3002,300121,8004,200
30~32331.5%84,4002,700176,9005,700
32~3460.3%91,8002,800188,2005,700
34~3650.2%98,6002,800181,6005,200
36~38160.7%90,1002,400178,8004,800
38~40160.7%119,1003,100210,9005,400
40~150.7%105,7002,600200,8005,000
全体2,154100.0%60,4002,900153,8007,300

そもそもこの調査を始めたきっかけは、日経ヘルスケアで30m2前後の物件が人気という記事を見て、市場にはそんな物件がどの程度あるのか気になったからだ。調べてみた結果としては、28m2以下の物件が総戸数の9割を占めていた。登録サ付き住宅の基準に、専有面積は原則25m2以上、ただし一定規模の共有キッチン・浴室を設ければ18m2以上でもよいというものがあり、ほとんどの登録サ付き住宅はキッチン・浴室共有型ということだ。
家賃に着目すると、30m2を越えたところから平均家賃が急増する。これは30m2以上から2人部屋(夫婦部屋)として提供されていることが考えられる。m2あたり家賃でみると、20m2以下と40m2前後の収益性が最も高い。とはいえ40m2前後は戸数が少なく物件の個別性に引っ張られているような気がするので、収益性だけでみると20m2以下の住戸を並べるのが最も効率がよい。m2あたり賃料が3000円というのは、だいたいワンルームの賃貸マンションと同じくらいだ。
賞味家賃というのは、家賃に共益費、サービス料を加えたものだ。共益費は部屋の広さで違うので平均値をとり、サービス料も1人分の1ヶ月目安費用をみているので、専有面積が広い物件では実際の賞味家賃は上記記載と大きく乖離があると思われる。そこで戸数の多い20m2以下と25m2前後の賞味家賃をみてみると、だいたい15万円くらいになっている。15万円というのは厚生年金をもらっている人の月々の受給額と同じくらいらしい。なるほど、専有面積が広くなるほどm2あたりの家賃は低くなるが、共益費等で調整して賞味家賃は同じくらいになっている、という話は本当みたいだ。

新築年別にみた戸数と家賃について

新築年戸数全住戸に占める戸数の割合平均面積平均家賃m2あたり平均家賃平均賞味家賃m2あたり平均賞味家賃
1985年231.1%22.142,8001,900119,8005,400
2000年140.6%21.342,0002,000101,5004,800
2002年803.7%28.060,0002,100102,2003,600
2004年70.3%20.060,0003,000141,5007,100
2007年552.6%25.562,2002,400146,4005,700
2008年361.7%32.475,5002,300156,6004,800
2009年1969.1%19.160,4003,200147,9007,700
2010年1607.4%20.975,8003,600161,7007,700
2011年24811.5%20.268,4003,400154,8007,700
2012年65230.3%20.555,2002,700136,0006,600
2013年48222.4%20.460,0002,900192,8009,400
2014年2019.3%19.656,7002,900145,8007,400
全体2,154100.0%20.960,4002,900153,8007,400

次に新築年別にみてみる。ほとんどの物件が築10年以内である。逆に築10年以上経っているものは、新築したものではなく、改修して登録サ付き住宅仕様にした建物と思われる。1985年と2000年の物件は平均家賃が極端に低いのも、改修型であることを裏付ける証左なのではなかろうか。登録サ付き住宅の補助制度というのは、空室率が高く築年数の経った1Rマンションなどを改修して高齢者向けにしていこうという政策意図もあったはずだが、数は伸びていないようだ。
2009年から登録サ付き住宅は急増しており、これは旧来の高専賃制度などとの関連があると思われる。この頃からできたサ付き住宅は築5年以内ということもあってか、平均面積も平均家賃も平均賞味家賃もほとんど変わっていない。てっきり日経ヘルスケアの記事もあったことだし、20m2以下の物件はそろそろ供給過多になって差別化を図るために最近の物件は平均面積が大きくなっている・・・というような傾向を期待していたのだが、今のところそういった動きはまだ無いらしい。
 
以上の調査はあくまで供給されている物件の調査であって、需要とマッチしているのかは、これだけではわからない。需要の読みは難しいけど、需要があったとしても収益性が無ければ事業者は誰もそんな物件を提供しないわけで、需給バランスとはいうものの、まだまだ事業者側の都合で物件の仕様は固まっていくように思う。