就職氷河期再来なんて、まやかしだ。

 昨年まで新卒採用が売り手市場と言われていたのは、団塊世代が一斉退職する2007年問題と少子化によってイスの多いイス取りゲームになっていたからだ。だけど実際にシューカツをしてみたら、売り手市場という実感はあまり無かった。学生の多くは大企業を目指し、行く先々の説明会にはいつも人が溢れていた。中小企業は求人を出してもエントリーが無いと嘆いてるとニュースで見たが、魅力的な会社は中小でもたくさんの学生がいた。そういうわけで、嘆いてるのは魅力を伝えられない会社だと思っていた。

 売り手市場であることの一例として、複数の内定を貰った学生が今度は内定の断り方で悩んでいるという話もあった。だけどそれは売り手市場によるものではなくて、単にその学生が複数オファーを受けるだけの能力があったということだと思う。その裏でどれだけエントリーを出しても祈られてしまう学生もやはりいた。結局名実共に売り手市場であったのは一部の能力がある学生だけで、多くの学生にとって売り手市場と言われることには、それなりに抵抗があるだろう。

 そして今年からは就職氷河期の再来かと言われている。たしかに社会全体でみると、新卒採用は引き締められる傾向にあるだろう。だけど昨年までエントリーが無くて困っていた企業までが右にならえで採用を止めるとは思えない。何より2007年問題と少子化の余波は現在進行中だ。売り手市場と言われていても全然実感が無かったように、氷河期と言われているからといって焦ったり後ろ向きになる必要はない。

 就職で重要なのは能力、つまり人事にこの人を採用したいと思わせることであり、能力のある人は氷河期と言われていようがきっちり就職できる。一方で祈られ続ける人はそれを氷河期再来のせいにしてはいけない。それはわざわざ吹雪いてる企業ばかり選んでいるか、自分の能力が低いせいだ。慌ててエントリーシートを何枚も書くくらいなら、人に誇れるものを一つでも増やすことに力を注ぐべきだ。

 10年前の就職氷河期は、能力がある人でも採用してもらえなかったらしい。それは会社が能力の低い社員を切り捨てずに、能力がある新卒を切り捨てたからだ。日本は正社員への保護が手厚く、能力が低くても社員を切り捨てることは難しい。だけど10年経って企業も知恵をつけて、今回は「正社員」を切り捨てずに「派遣社員」を切り捨てている。そんな派遣社員の人柱と少子化の壁を越えてまで氷河期がやってくるとは思えないし、思いたくもない。

・asahi.com(朝日新聞社):つかの間の「売り手市場」 就職氷河期がまたやって来る – 週刊朝日・AERAから – 就職・転職
・内定取り消し最悪ペース 331人「山一危機」上回る可能性:マーケティング – CNET Japan