・戦士の資格 – フジテレビ
フジテレビヤングシナリオ大賞作のドラマ化作品。何とも言えない気持ちになった。
主人公は33歳勤続10年目。上司の機嫌を取って同僚を出し抜いて出世を狙っていたが、上層部のパワーバランスが変わって逆に現場へ左遷されてしまう。一方で主人公が狙っていたポストはよりにもよって恋人のものに。主人公は現場勤務にくすぶりつつも、本社が現場に出す指示の不条理さに気づく。やがて本社ポストと引き替えにリストラ要員を選ぶ役を与えられ、結局冷徹にリストラしようとするも面談の場でリストラ要員のおばさんが大活躍。目が覚めた主人公はリストラなんかする方が非合理的であることを上司に力説。一度は蹴落とした同僚にも俺たちで会社の古い体質を変えていこうと退職を引き留める。俺たちの闘いは始まったばかりだ!
・・・とまあそんな話。自身が会社員である脚本家に罪は無いと思うし、8月末に大賞が決まった時は数ヶ月でこんなに景気が悪くなってるとは思わなかっただろう。これからもっと景気が悪くなるから今放映しないとお蔵になりそうな気もするけど、でも今ってどうなん。しかもトヨタの提供で。個人的には派遣社員を切ること自体は経営的に仕方ないと思ってるけど、とはいえ自社でリストラしてる企業が反リストラドラマの番組スポンサーなんて、笑えないでしょ。
このドラマの視聴者層はどの辺なんだろう。やっぱりアラサーの女性が多いんだろうか。主人公と同じ世代、つまり就職氷河期世代の人は見てたんだろうか。氷河期を勝ち抜いて正社員になれた人にも、氷河期のせいで非正規社員になった人にも、胸くそ悪いドラマに映るんじゃないか。
繰り返しになるけれど脚本家が悪いんじゃない。これをこの時期にテレビでトヨタの提供で放映してることで、せっかくの脚本が誰得ドラマになってしまって、むしろ脚本家には同情的だ。テレビもトヨタも無頓着すぎる。
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