GW中にはたらくことに関する本を何冊か読んだ。そのうちの2冊を使って、日本的な「年功序列+終身雇用」制度について整理してみる。
■年功序列+終身雇用にこだわる2つの理由
21世紀になってから世の中は実力主義へシフトしていったと思っていたのに、僕の周りはすっかり安定志向の人が増えていて、世の中は年功序列へ戻りつつあるか、既に戻ってるんじゃないかと感じていた。また、こと身近な造園や建設の分野で職人が不足してることを聞かされていると、非経済的だったとしても年功序列できちんと若い職人を育てていく必要があるのではと思い、年功序列の何が問題なのか把握しておきたかった。
年功序列+終身雇用制度について整理したするのに利用したのはこの2冊。2冊とも年功序列を全否定しているわけではないけれど、既にこの仕組みは破綻しているからこれから世に出る若者は自分の手で自分の道を切り拓いていかなきゃいけないよ、という内容の本だ。
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 (光文社新書)
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))
■年功序列+終身雇用制度の概要
・年齢によって序列と報酬が決まる制度。
・個人より企業のネームバリューが評価される。■年功序列+終身雇用の企業にとって良いところ
・従業員の勤続年数を引き上げ、技術の蓄積が可能。■年功序列+終身雇用の働く人にとって良いところ
・若いうちの待遇は良くないが、長い目でみれば元が取れる。
・うまくシステムに乗れば、自分が何をしたいとか考える必要がない。
・一度ポストが上がれば下がることは滅多にない。■年功序列+終身雇用の企業にとって悪いところ
・組織が成長しつづけることが前提。
・償却すべき人材をいつまでも抱えなければいけない。■年功序列+終身雇用の働く人にとって悪いところ
・序列が上がらなければ、いつまでも報酬も増えない。
・キャリアを重ねても人材の価値が上がるとはいえない。
・一度制度から外れてしまうと復活できない。
・年齢で報酬が決まるので、フリーター、中途採用、女性とは相性がわるい。
■職人をコンスタントに育てていくためには?
日本的雇用制度は技術の蓄積には向いているけれど、それは飽くまで組織が安定成長していればの話。技術を蓄積するためには将来を保障してやらなければならないが、昨今の経営が苦しい中小企業はそれができない。将来が保障できない代わりに今の待遇を良くしようにも、技術力が低いのにそれ以上の報酬を払うことになってしまって、割に合わない。
こうしたジレンマに対して思い当たる考えはあるものの、まだ思いつきでしかないのでこの項続く。何か手がかりが得られそうな気がするので同著者の『日本型「成果主義」の可能性』を次は読んでみようと思う。
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