氷河期とか働き方とかに思う話2010。

久しぶりにボリュームのある文章を書きたくなった。
東洋経済の今週号の特集が就職新氷河期。去年も一昨年もなんか色々考えたけど考えて終わって今年もモヤモヤすることを書き連ねる。

・応募者が増えて、採用活動のコスト(お金よりも人と時間)が重い。説明会や選考には人事だけでなく他部署の社員や部長役員も動員する。採用活動の負担が増えて通常業務が滞ってしまったら、もともと利益を上げる為に採用活動してるのに採用活動で利益を上げられなくなってしまうんだから、本末転倒だ。結果これまでと同じコストの中で急増した応募者を捌かなきゃいけないから、相対的に応募者ひとりにかける時間は希薄化する。お互いにこんな短時間で何がわかるんだと思っている。何十社と面接を受ける傾向によって、誰もが損している。

・入社式というのは、新卒一括採用があるからこそできる儀式だ。中途を採用する度に社長が挨拶をするようなことはない。入社式の社長挨拶をWebやマスコミで嬉々として載せる行為は、我が社は新卒一括採用をやめるつもりはありませんし雇用や就職といった社会問題に関心がありませんと表明しているようなものだ。

・成長戦略だの経営戦略だの言ったって、基盤となる仕事がまるっきり変わるなんてことはない。安定して利益を上げるために安定した組織をつくりたい。社員に長く勤めてもらうことで組織が安定する。だから新卒一括採用して社内で育て上げて社員を囲い込む。でも中核を担う有能な社員は他社へ移るし、安定した待遇にあぐらをかく社員によって組織は腐敗する。安定しているかもしれないがとても非効率だ。もっと効率的な方法があるのではないか?
雇用の流動化が進めば、人材育成にかける投資も社員の囲い込みに必要な経費もぐっと減らすことが出来る。人材は社会全体で育成しようという考え方だ。育った社員が他社へ流れても、他社が育てた社員をもらえばいい。だけどこれは自社単独で行える仕組みではない。まとまった業界で手を組まないと難しい。

・仕事を「人」にさせることが、様々な弊害を巻き起こしている。仕事は「組織」にさせなければいけない。この人がいないと仕事が進まないからその人は有休をとることもできないし、会社は囲い込まなきゃいけない。そもそも人ありきの組織は継続企業体として問題がある。内部統制の整った理想的な組織の会社なら、人に仕事をさせているはずがない。社員は歯車ということをもっとドライにポジティブに捉えて徹底すべきだ。

・所詮は歯車と思えば、採用のしかただってもっと色々できるだろうに。Aクラスの学生とBクラスの学生を同じ総合職で採用しなきゃいいのにと思う。今の就活は地頭が良くてコミュ力が高くて多角的に物事が考えられてって求める人材のハードルが高すぎる。全員幹部候補生かよ。実際組織でキーパーソンになるのは一握り。それに世の中Bクラスの人間の方が圧倒的に多いじゃん。Bクラスの人間に求めてることってもっと普通のことじゃん。与えられたことを問題無くこなしてくれる人、それだけ。責任が軽い分給料減らせばいいじゃん。それで採用する方もされる方も肩の荷が下りるのに、なんでそうしないんだろう。逆に女子社員にはそういうことやってるのに、総合職・一般職って。所謂今時の安定志向の学生にはそういう待遇の方がむしろいいんじゃないの、とも思う。

・今の就活の仕組みで内定を得て勝ち組になろうと思うなら、大学3年から就活してもそりゃ遅い。地頭とかコミュ力とかもうハタチも越えりゃその子の素質なんて大体決まってるじゃん。対策のしようがない。企業が本気で全員Aクラスの学生を求めてるって言うなら義務教育から思春期の家庭環境からテコ入れしないと無理。そんなの現実的に無理。そっちの方向に持っていきたいとも思わない。そうじゃなくて、一般職みたいな待遇はイマイチだけど楽って枠がもっと好意的に拡大していくべきだと思う。企業からしてみればそう悪くない子ならOKって感じだから何度も面接するとか採用に高コストかける必要もないし、学生も御社が第一希望ですなんて片意地はらなくてもいいし。むしろ若者は親のように年収5、600万をずっと稼げるみたいなことにはもう諦め気味なわけだし、企業の方が年収はせいぜい400万円台にしかならないけど安定した仕事ありまっせーってその諦めに打算的に乗っかればいい。

・最近自分はAクラスだと自信を持って、或いは開き直って言えるけど、そりゃそこらの同世代とは頑張ってきた厚みが違うもん。今だって目線が違いすぎる。僕は戦い続けるし。でも全員が自分みたいな考え方で戦えって言ったって無理じゃん。戦う気が無い人を無理矢理引き上げようとするより、戦わない人がいるってことを受け入れる方が効率的だ。じゃあそういう人たちもいるって受け止めてみんな幸せになるにはどうしたらいいの?って考えたらBクラス採用って思うのだ。

・自分が就活を終えたとき、人事にいたとき、今年もこの時期がきて、後輩に就職相談されたら何を伝える?っていつも考えるけど、Aクラス志向じゃない子には何のアドバイスもできないと思うようになった。就活時点でAクラスの資質が無いのは仕方ない。資質がある子はそもそも就職に苦労しないからアドバイスする必要がない。Aクラスを目指そうとするならアドバイス出来ることはあるけど、それは30歳くらいでバリバリ戦えるにはどうしたらいいか?という話で、目の前の就活が大変なのはもうちょっと諦めるしかない。でも、今もこれからもBクラスでいいやって子に対しては今の就活の仕組みがもう合ってない。数こなして取り繕って何かしらどこかしらに引っかかるしかない。そんな茶番にアドバイスをする気はない。自分の考え方に基づくアドバイスをするならAクラスばかり求められるような就活からは降りて、Bクラスでいいよっていう求人を探せばいいってことなんだけど、そんな就活の仕方したことないし現実にそんな求人があるのか知らないからアドバイスになってない。そういうわけで、Bクラス志向の人とどう向き合えばいいか見いだせてない。

・また最後にふわっとしたレベルの話に。卒業後3年後は新卒扱いにしろとか、学生は卒業してから就活するようにしろとか有識者な方々から提言がでている。今でさえ入社して経済的に安定するまで結婚はちょっととか言ってるのに、卒業してから就活なんてことになったらますます婚期が遅くなるじゃないか。奨学金も返さなきゃいけないし年金の負担も重いのに。就活だけを部分的にチューニングしたところで社会は幸せになれない。