【プロジェクト・ニクス】上海異人娼館
Project Nyxの上海異人娼館という舞台を観てきた。チラシを見てわかる通り、ああ、こういうヤツね、と。ココに踏み込んじゃうと演劇の深みにハマってしまうぞと戒め半分、スルーするつもりだったんだけど、友達の誘いもあって、まあ二人でハマってしまうならいいかということで。
前フリか何かで、寺山修司という言葉が出てきて、あれ、どういうことなの、この舞台の原作は誰なのと思ったけど時すでに遅し。舞台が始まってしまう。幻惑的な衣装や舞台装置はチラシから想像できていたが、 娼館が舞台になっていることもあってエロい演出もあるんだろうなあとは思っていたが、さすがにニプレスだけで演技されたりするとまでは思っていなかった。歌やダンスにかなり長い時間が使われて、これ本当にストーリーが解決するんだろうかと思っていたが、案ずることなかれ、最初から最後までだいたいよくわからなかった。途中からストーリーを追うのは諦めてショーを楽しもうと思って観て正解だった。
エロいシーンを見ながら、歌あり踊りありでこんなショーもあって4,500円なら下手なキャバレーとか行くより全然お値打ちに楽しいよなと思いついてしまい、終演後あたりを見回すと、結構年齢層が高い、しかもおじさんのお客さんが思った以上に多いことに気づいた。友達とご飯を食べながら、おじさんたちが多かったのは、役者さんたちもベテランの人が多いせいなのか、それともこの劇団はエロいというのが口コミで広まってしまったのか、どっちなんだろうと半分本気で話をした。たぶん僕も、昨日見てきた舞台はポールダンスがあったり、あんなシーンがあったり、そんな舞台でしたとおじさんたちに話してしまうだろう。
さて、寺山修司である。やはりこの舞台の原作は寺山修司であった。先日観に行ったNODAMAPのエッグでも寺山修司という言葉が出てきた。演劇好きは寺山修司という人物を知っていて当然らしい。今回こうして原作の舞台を観てしまい、しかもそれが全然よくわからなかったのだから、寺山修司がどんな人なのかということを調べない訳にはいかない。
帰りの電車の中で寺山修司のWikipediaを読んだ。そうかアングラ四天王と呼ばれる人なのか、たしかに今日の舞台もアングラという言葉がしっくり当てはまる。小劇場ブームの立役者で天井桟敷という劇団を主宰していたのか、たしかNODAMAPのエッグの中で寺山修司の生原稿が天井裏から見つかったといった台詞があったが、それは劇団名に由来していたわけだ。毛皮のマリーも寺山修司なのか、毛皮のマリーズもここに由来しているわけね。
とまあ、いくつかの気付きがあり、なんか訳わかんないけどショー的な面白さという今回の舞台の感想は、寺山修司作品一発目としては、非常に正しい感想のような気がしてきた。おじさんたちはきっと昔からのファンなんだろう。スケベジジイだと思ってごめんなさい。でもスケベゴコロで見に来てしまうのもきっとアリ。
そして困ったことに、これはアングラ作品だったのだという気付きにスゴく納得してしまったので、人前に出さないように抑制していたアングラへの関心が、抵抗なく表面化してしまいそうである。僕がエログロアングラ方面に道を踏み外してしまっても、どうか僕とよき友達でいていただきたい。
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