ズッコケ中年三人組age42

ズッコケ中年三人組age42
 入れたらいいなと思っている会社のエントリーシートに『最近印象に残っている本とその理由』という項目があって、ネタになりそうな本を探している。小説は飽きたがビジネス書はガツガツしていてつまらなそうなので岩波新書とかその辺を探していたのだが、全然関係無いところでふと目に止まったこの本を買った。

 ズッコケ三人組は小学校の図書室に並べてあるのをちょくちょく読んでいたが、広島の己斐の辺りを舞台にした話だということを知ってから妙に親近感が沸いて、シリーズのあらかたを読み尽くした。久しぶりにズッコケシリーズを読んで最初に感じたのは、僕の親近感は広島に向けられたもので、己斐に向けられたものではないということだった。今でこそズッコケの舞台をなぞるように己斐を歩いてみるのも楽しいかもしれないと思えるが、当時の僕にしてみれば市電の終点にもなっている己斐は「漠然とした遠いところ」だった。実はそんな違和感を感じながら読んでいたことに、今更気がついた。

 主人公達が42歳というのも、僕にとっては少し違和感を感じる部分だ。僕がシリーズを読んでいた頃、主人公と僕は同い年だったのに、僕が12歳しか年を重ねているうちに彼らは30歳も年をとってしまった。今度は彼らと同目線ではいられない。もう20年経ってから読むべきだったかなと少し後悔した。

 そんなわけだから、この本を読んで感じた面白さは12年前とも20年後とも少し違う。自分の想像できる場所が登場する度に親近感を感じ、作中の登場人物に世代が近い弟妹や学校の先生を重ねて彼らの考えていることを想像した。あれ、こういった読み方はきっと今までもこれからもするだろうな。そういうわけで、何歳の人が読んでも面白いと思いますが、己斐の地理に明るい人はより一層楽しめると思います。

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