みやすい文章。

文章は接続詞で決まる (光文社新書)文章は接続詞で決まる (光文社新書)
著者:石黒圭
販売元:光文社
発売日:2008-09-17
おすすめ度:4.5
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卒業旅行シーズンのお陰でなかなか生協でチケットを取ることが出来ず、時間を潰すために買った本。日頃から文章表現には気をつけているつもりだけど、こうして接続詞それぞれを改めて解説されると無意識に行っている作業を実感できて面白い。著者の先生が文章中で実際に接続詞をどう使っているかを意識しながら読むのもまた面白い。文章がわかりやすいので、これをもとにして一枚の図でまとめた方が接続詞の使い分けを身につけることができると感じた。が、実際やってみると結構大変。

最後の方で接続詞の表現方法について書いていたところが個人的に興味深かった。接続詞はひらがなで表記するか、漢字で表記するか、そして接続詞の後に読点をつけるかという問題。著者の先生は原則ひらがな、ただし「換言すると」といった熟語つき接続詞は漢字で、また文頭の接続詞の後には読点を打つようにしているそうだ。

接続詞後の読点も含めて、僕は読点については文章を推敲していく中でどんどん削っていく。例えば論文の摘要みたいな熟考して文章をひねり出すような時、最初はつい読点を打ちまくってしまう。

このようにA地区の住民についてはaの認識が高いとは言えなかったが一方でbの認識は高く住民の間で共通の認識があることがうかがえた。近年都市化が進むA地区ではaが急速に失われており早急な保全が必要であろう。

最初に文章を書いているときの読点は「上書き保存」みたいな感覚で、だいたい読点のあるところで次に持ってくるフレーズを考えている。この時はフレーズをひとつひとつ確認するために読点を打っているのでいいんだけど、このままでは読む時も同じようにフレーズごとでブレーキを感じてしまって、あまり読み心地がいいとはいえない。

僕の場合、人に読ませる文章で最終的に読点を残す場所は3つの考えから決める。1つ目は文章を読む上でのブレスとなる場所、2つ目は文の中での大きな節と節の間、そして3つ目はどうしてもひらがなや漢字が続いてしまって読点を打たざるを得ないところだ。後の2つは視覚的に文章を読みやすくするために打つ読点だが、最初のは読み手に制限をかける読点なので極力削って、とくに強調したい時だけ使っている。

サンプル文章の場合、赤の読点が1つ目の考えに該当するもので、黄色の読点が2つ目の考えに、青の読点が3つ目の考えに該当する。なので赤の読点を削って、節の中での小さなリズムは漢字とひらがなを使い分けて作っていく。推敲したらこんな感じ。

このようにA地区の住民については、aの認識が高いとは言えなかったが、一方でbについては住民の間で共通の認識があると推察された。近年、都市化が進むA地区ではaが急速に失われていることから、早急な保全が必要であると考えられる。

こういった感じで、僕は「見やすさ」をかなり重視して文章を作っている。ところが僕の文章に対して、読点が無さ過ぎて読みにくいという人もいる。たぶんその人はフレーズごとにじっくり文章を読むタイプの人なんだと思うけれど、これだから文章を書くのは難しい。

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