住宅を売る時のターゲット区分に「一次取得者」と「二次取得者」という考え方があります。ググってみてもちゃんとした定義があるわけではないですが、この業界では常識的な用語として使われています。いくらか検索してみた結果、おそらくですが、一次取得者は「初めて住宅を購入する人」、二次取得者は「既に持ち家があって、買い換える人」のことを指すんだろうということがわかりました。ふつうに考えれば一次取得者は所得の低い若いDINKSとかで、二次取得者は資金力のある子供が何人かいるファミリー、みたいな想像がつきます。なので、一次取得者向けには70平米くらいの2LDKとか、二次取得者向けには90平米くらいの4LDKとか、みたいな計画をするんだと思います。
思います、とはいうものの、この一次とか二次とかって考え方に、僕は全然賛同できない。感覚的には、賃貸暮らしが長いせいか、家は借り換えても買い換えるものではなく、一度買ったらそこにずっと住むんだろうなと思っている。そもそも(一生に一度と思う)家を買えるくらいのローンを 組めるようになるのはけっこうな年齢になってからだし、バブルの頃や今の東京の一部では住宅が値上がりするから買換ができるかもしれないけれど、返済スピードより資産価値下落スピードの早い今はどうしたって残債が出るから、資金力があるか二重ローンの覚悟が固い人じゃないと買換なんて無理じゃないかなと思う。
今は一次と二次の属性が変わってきて、プランも変わってるんじゃないかな、という気がしなくもない。一次も二次も高年齢化してきているので、初めて家を買う時点で既に子供がいるから3LDKや4LDKが実は一次向けで、子供が独立した後、退職金を使って買い換えちゃうような人は2LDKくらいを好む、みたいな。一次取得者向けに作ったつもりが二次取得者にウケている、というのがまさに我社のリノベマンション事業で、低所得DINKS向けに作ったはずなのに、やたら高齢者に売れていて、でもそのマーケティングミスは認めたくないみたいな状況にある。
間数が多くて広いファミリータイプの物件は一次層だろうと二次層だろうとそれなりに需要があるけど、一次層ならそもそも資金力が無いし、二次層なら残債があるしでいずれにせよ資金力が無いから価格を抑えなきゃいけなくて、郊外に出ざるを得ないんだろう。間数の少ない物件は未だにDINKSを狙っているのか、それともセカンドライフの高齢夫婦まで訴求できているのか、ちょっとよくわからない。それでもDINKSに訴求したとされる我社の都心型マンションは完売し、時代はコンパクトマンションだ!という新聞記事もやたら見る。ただ感覚的には、買換を前提としたマンションがそんなに供給されても、自分の後にこのマンションを買いたいと思う人がいてくれるんだろうかと思うとちょっと自信が無い。
それでも床屋と同じで家に住むことそのものが無くなるわけはないから、どういう住まいならこれからも受け入れてもらえるんだろうなと思いながら、今日は全然マンションと関係無い仕事をしていました。ちゃんちゃん。
コメント